【新暦:およそ9月17日~9月21日ころ】白露 末候 玄鳥去(つばめさる)
ツバメが暖かい南へと旅立つ頃です。
アーユーボーワン、こんにちは。前回に引き続きAKARIです。今回は筋肉の働きについてとご案内していましたが、玄鳥去の話から思い立ち、筋肉よりも前にもっと大切な「体力」についてご紹介いたします。
■命がけの数千Kmの旅へ
七十二候の白露も今日で終わり、明日は秋分をむかえます。自然は少しづつ確実に変化し、そこに生きる命も懸命に適応しながら日々を生きています。ツバメは東南アジアなど暖かい地域を目指し数千Kmもの距離を時速40~50Kmで1日に数百Kmも移動します。もちろん飛行機や船にも乗らず自分の翼で飛んで移動します。
ツバメは毎年のように日本に帰ってきていると思っている方も多いかもしれませんが、日本で生まれて、また日本に帰ってくるのは約1割程度と言われています。渡りには相当な体力が欠かせず、ツバメは寿命が短く1〜2年と短命なのです。まさに命がけなのです。
■自然を相手に懸命に生きる
小さなツバメが自分たちが生きるために命がけで渡りをしている。わたしはどうだろうと考えずにはいられません。毎日の日々が当たり前に続き、明日は必ずやってくると思うがために、失うかもしれないということを目の当たりにすると恐怖や不安が生まれます。ツバメのように命を生ききる、生ききった!と言えるような日々を送っているだろうか。とても言えない暮らしぶりに反省するばかりです。
■生きるためには体力が欠かせない
ツバメが渡りをするのに体力が必要なように、わたしたち人間も体力が必要です。体力はさまざまな要素から構成されています。コロナ禍の生活で改めて大切さが見直されている体力。みなさんは体力についてご存知でしょうか?今日は筋肉についてのお話しをする予定でしたが、その前にもっと大切な「体力」について紹介したいと思います。
■体力の構成図
猪飼道夫 日本人の体力 日本経済新聞社 V持久力とパワー 図5-1 体力の構成 107P
体力というと、身体の大きさや筋力の強さをイメージする人もいらっしゃるかもしれませんが、その構成は身体的要素と精神的要素に大別され、それぞれが行動体力と防衛体力に分けられています。図を見て頂くと、コロナ禍でよく耳にするようになった「免疫」も体力の構成に含まれています。温度調節や適応なども体力に含まれていることや、精神的要素全般が体力に含まれていることは意外に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、体力は広義には「人間として生存、生活するための基礎的能力」と定義されています。
■心身を衛る力も体力
図のように体温調節は身体を衛る機能です。体温が上昇し続けるとわたし達は最終的には死に至ってしまいますので体温調節機能を持っています。体温調節はヒトを含めた哺乳動物(恒温動)がもち、体温を一定に保つために体内から熱の放散を調節したり、体内で熱を産生したり、感染が起こった時には発熱を起こし、体温を増殖至適温度域よりも高くすることで増殖を抑制したりします。
例えば、暑いときには血管を太くし血流を増やし皮膚表面温度を上げて汗をかく、寒いときは血管を細くし皮膚表面温度を低くし体内の熱を逃さないようにするなども体温調節の働きによるものです。
熱中症が心配になる季節になると、暑さに慣らし汗をかきましょうとの案内が増えるのは、加齢や運動不足などによって低下する体温調節機能が働くように、軽い運動や入浴を活用する発汗トレーニングで備えるためです。
今回は触れませんが精神的要素にも防衛体力があります。精神的ストレスに対する抵抗力は防衛体力です。
■体力を高める、維持するために大切なことは
まず、一番大切なことは「知ること」です。体力を高める・維持するための方法や知識ではありません。「自分の身体の状態を知ること」です。社会的に健康意識が高まり、さまざまな情報や健康に関連する商品もたくさん手に入るようになりました。どれが良いのか、あれは本当か、これは本当に効果があるのか等々を尋ねられることがとても多くなりました。しかし「わたしにはどれがいいのか」を尋ねられることはとても少ないのです。その背景には「自分の身体の状態を知らない」ということがあるのではないかと感じています。皆さんはいかがでしょうか?
■見逃されがちな筋力
前述したように体力といっても様々な要素があります。例えば、上図の身体的要素の行動体力に分類される「機能」は見逃されがちな要素であると実感しています。多くの方は形態に分類される体型や姿勢は目に見えたり、肩こり・腰痛など症状を自覚しやすいこともあり意識される方が多いのですが、普段の日常生活に支障がなければ自覚する機会が少ないため「機能」(筋力だけでなく柔軟性、持久力、バランス性他)に対して意識を持つ方は少ないようです。
■筋力の低下は加齢だけではない
筋肉は使わなければどんどん減少(細くなる)し筋力も低下します。これは加齢に伴うことだけではありません。コロナ禍で耳にするようになりました「ロコモティブシンドローム」(ロコモと短く呼ばれることも多いです)は加齢によるもの、高齢者におけるものとイメージしている方も多いかもしれませんが、昨今では子どものロコモティブシンドロームが問題視され、さまざまな取り組みも行われています。
■気づかぬうちに衰える筋力はセルフチェックが重要
筋力の低下は気づかぬうちに進んでいることが一番怖いところです。特に下肢の筋力は上肢よりも低下の進行が早いことがわかっています。おおよそ20代をピークに筋力は低下し、50代頃から急激に低下することが示されています。
Tarzan 2020.12.07記事より 福永原図2001年 アクセス日:2020.9.22
https://tarzanweb.jp/post-224067
ウォーキングしている、1日に1万歩は歩いている、若い頃スポーツをかなりやっていたからと言われることが多いのですが、わたしは筋力チェックをすることをおすすめしています。わたし自身もそうですが、50代といえば働き盛り、まだまだ若い!と自分では思うのですがデータはそうは示していないのです。
ご自宅でも出来るチェック方法をスポーツ庁が動画で紹介しています。ぜひ、みなさんもチェックしてみてください。(※転倒する可能性もありますので一人ではせず、キャスターのついていない安定した椅子を使用するなど安全を確保して自己責任において行ってください)
テンスタイルヨガスタジオの会員様は、ロコモティブシンドロームのチェックと同様の筋力チェックができる専用台をスタジオに常備していただいていますので、ぜひ、ご活用ください。
■かんたんまとめ
・体力は「人間として生存、生活するための基礎的能力」と定義されている
・体力の構成は身体的要素と精神的要素に大別される
・体力には身体的にも精神的にも行動体力と防衛体力がある
・心身を衛る力も体力である
・体力を維持増進するためには、まずは自分の状態を知ることから
・筋力は自覚症状がないので見逃されがち
・筋力は50代から急降下する
・気づかぬうちに衰える筋力はセルフチェックが重要
今回は筋肉の働きをご紹介する予定でしたが、その前にもっと大切な心と身体の健康に欠かせない「体力」についてご紹介しました。それは、体力を構成する中でも自分を衛る防衛体力の機能に筋肉が関わっていることがたくさんあるからです。
健康づくり、健康のためには運動をしましょう!と書いてある、言われることが多いかと思いますが、その背景に筋肉が果たす役割があるんだなぁと知っていただけるよう少しずつご紹介していければと思います。
本日はありがとうございました。
季節の変わり目です。
ご自愛ください。
TORINOMEWORKS AKARI
(健康運動指導士×認定心理士)
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